美男高校地球防衛部LOVE!LOVE!LIVE! 1万字レポート


幕張が“愛”で満たされた。テレビ東京系列で放送されたアニメ『美男高校地球防衛部LOVE!LOVE!』の主要キャスト5人、通称“地球防衛部”が出演するライブ『美男高校地球防衛部LOVE!LOVE!LIVE!』が11月6日、幕張イベントホールで行われ、観客約6000人を魅了した。昨年5月、アニメ1期放送後に行われた『LOVE!LIVE!』から約一年半。LOVEを一つ増やし帰ってきた防衛部は、楽曲で、振り付けで、衣装で、我々に全身全霊の愛をぶつけてくれた。自らを「売れないアイドルグループみたい」と称する彼らの、温泉のごとく熱い勇姿をレポートする。


午後17時30分。本来の開演予定時刻から30分を過ぎた頃、間も無く開演とのアナウンスがかかる。待ちわびたファンの歓声に応えるかのように、照明が落ち、BGMが大音量に切り替わる。メインステージに設置されたハート型の巨大スクリーンに順にキャラクターが映し出されると、会場の熱気は早くもMAXに。キャラの名前とキャストの名前が飛び交い、映し出されるメンバーが変わる度にペンライトの色を変化させる会場の一体感に、開始2分で酔いしれた。

イントロダクションの後、いよいよ始まった一曲目は、愛の再始動を告げるアニメ2期オープニングテーマ『沸点突破☆LOVE IS POWER☆』。「LOVE IS BACK!!」の歌詞とともにメインステージから登場した山本和臣(箱根有基 役)、梅原裕一郎(由布院煙 役)、西山宏太朗(鬼怒川熱史 役)、白井悠介(鳴子硫黄 役)、増田俊樹(蔵王立 役)は、この『LOVE!LOVE!LIVE!』のキービジュアルを彷彿とさせるポップな衣装に身を包み、会場を一瞬にして興奮の渦へと巻き込んだ。メインスクリーンにはアニメのオープニング映像が流れ、ステージでは5人がアップなナンバーに合わせ息ぴったりのダンスと歌を披露する。一曲目から全力で届けられる愛に、ファンも負けじと「LOVE!LOVE!」「愛!愛!愛!」の掛け声で応える。「愛と愛の愛し愛」という歌詞を体現するかのような、圧巻の光景であった。一曲目が終わり、興奮冷めやらぬ会場に座長・山本が「恥ずかしながら帰って参りました」と声をかけると、ファンからは割れんばかりの「おかえり」の声。ひとこと「お待たせしました」と織りまぜる白井の細やかな気遣いも嬉しい。そのまま一気に上がった気温を冷ますまいと始まったのは、今の季節にぴったり(!?)の『Let's Go!! LOVE Summer♪』。前回の『LOVE!LIVE!』で制作決定が発表されたこの曲は、発売から一年以上が経ったこの日、ファンの前で初披露された。遊び心満載の歌詞に合わせてステージ上で戯れる5人の姿に、防衛部が帰ってきた喜びを改めて感じる。フラダンスのように手を揺らすサビや、間奏でのエアギターのような振り付けも愛らしい。続いては間を空けず、『沸点突破~』のカップリング曲『Boys Go Straight』を披露。アップテンポでありながら低めのキーで優しく、しかし力強く歌い上げられたこの曲は、本編中での使用こそなかったものの、防衛部を象徴する大切な一曲だ。「笑い声はいつの間に声援(この日山本は『歓声』と歌っていた)になってた」という言葉に、アニメ1期から今までの道のりを思い浮かべたファンも多いであろう。恒例の山本、梅原・西山、白井・増田の3組での歌い分けや、イントロとアウトロで円陣のように5人で手を合わせる振り付けも印象的であった。

『Boys~』が終わると、ここで改めて5人からの挨拶。個性溢れる自己紹介に会場はペンライトと歓声で応える。増田が「LOVE!」と叫ぶとファンも全力で「LOVE!」と続き、C&Rも順調だ。

そして全員曲が3曲続いた後は、いよいよソロステージ。トップバッターは増田演じる蔵王立の『WORLD WIDE LOVE LEADER』だ。キャラクターソングCD、そして『LOVE!LIVE!』の曲順と同様に、5人のソロのトップを飾ったこの曲は、モテの天才・蔵王のLOVEを隅まで堪能できるキラーチューン。ステージを端から端まで走り回って観客を煽り、アウトロでイヤモニを外して生の歓声に耳を傾け「感動!」と叫ぶ増田のカリスマ性に、会場は一気に“蔵王モード”。ライブパンフレットに増田が記した“防衛部VSおまえら”という力強い文字を喚起させる、最高に熱い愛のぶつかり合いだった。そんな増田の「次はもちろんコイツだぜ!」という言葉を受けステージ上段から登場したのは白井。「この世の正義は何より金」と歌っていた1期からガラリと路線を変えた、優しく温かくどこか切ない『Feel it!』を情感たっぷりに歌い上げる。鳴子硫黄の大人びた言動の裏にある感受性の豊かさが、歌詞や歌声に乗って黄色いペンライトの海に浮かび上がるようだ。今回も健在の独特のステップや振り付けからも、白井の全力の愛を感じる。最後のサビで見事に響いたハイトーンに溢れ出るような歓声が上がり、この日初めてのミディアムナンバーでも熱量は高いままだ。次に白井からのバトンを受けたのは、キャライメージの眼鏡をかけた西山。鬼怒川熱史のソロ『ぐるぐる大変EVERYDAY!!』は、おもちゃ箱のように可愛らしいイントロと、ドタバタでハチャメチャなサビの対比がクセになる、鳴子と同様に1期とかなり路線を変えたナンバーだ。曲中で鬼怒川が歌う台詞パートをファンが担当し、サビの歌詞に合わせて緑のペンライトがぐるぐると回る様子は、とにかく楽しいのひとこと。お尻を振ったり手を回したりしてとびきりの笑顔を見せる西山と、ドタバタな日々も「これが俺らの普通でハッピー」と歌う鬼怒川の、どこまでも深い愛が会場を満たした。そして今度は歌謡曲風のイントロと共に、グレーのハットを被った梅原が登場。こちらは1期から一貫した“究極”シリーズ、由布院煙の風呂への愛を情熱的なメロディーに乗せた『風呂は究極極楽施設!!』を披露した。梅原の真剣な表情や歌声と、ユーモア満載の歌詞のギャップが絶妙だ。冒頭のハットを投げる振り付け、間奏の吐息(?)パートと続いた黄色い歓声が頂点に達したのは、大サビ前の台詞パート。「俺は風呂を愛してるんだ」の部分を「風呂と“お前らを”愛してるんだ」とアレンジする粋な演出で、ファンの心をがっちり掴む。由布院のブレない愛のかたちが会場を魅了した。そしてソロステージのラストを飾るのは山本。主人公・箱根有基の兄や防衛部への愛を歌った『伝えきれないありがとう』は、1期から通して見てもソロ曲の中では初となるバラードナンバーだ。ステージ上段に続く階段に腰掛け、温かく伸びやかに感謝を歌う山本の表情が変わったのは2番後の間奏。ポケットから手紙を取り出し、「防衛部が帰って来られたのはみんなの愛があったから」と涙ながらにありったけの想いを伝えると、ファンの目にも涙が浮かぶ。「だから、みんなに」という言葉に続けて大サビの「ありがとう」に続けるニクい演出に、ライブのクライマックスのような感動の嵐が吹き荒れる。有基の誰よりも大きな愛が会場を包み込み、ソロステージは幕を閉じた。

感動ムードを残しつつ、次はデュエット曲か、はたまた再び全員曲かと期待が高まる客席の左側二階席から、悲鳴のような歓声が上がる。スポットライトが照らした先には、恨めしげな表情でメインステージの方を見つめる“双子”のシルエット。なんと、アニメ2期で登場した防衛部の敵キャラクターである“別府兄弟”、通称VEPPerが客席に姿を現したのだ。突然のシークレットゲストに会場は大興奮。「箱根有基、気に入らないね」と声を揃える河本啓佑(兄・別府月彦 役)、村上喜紀(弟・別府日彦 役)は、客席を移動しながら2期エンディングテーマ『あなたは遥か一等星』を披露。実はこの『LOVE!LOVE!LIVE!』のライブグッズであるペンライト“トゥルーラブレード”には、防衛部メンバーカラー5色とホワイトに加えて、VEPPerのイメージカラーであるパープルとバイオレットが登録されており、ファンは突然のVEPPerの出演に驚きながらも二色のペンライトを振り熱狂。メインステージに到着した二人が背中合わせで手を繋ぎ歌う姿は、エンディングテーマのアニメ映像そのものだ。“ギャラクシーアイドル”を名乗る新キャラクターの圧倒的人気を見せつけた。

曲が終わると、河本と村上は“別府兄弟”のキャラクターを保ったまま次の曲紹介へ。「自分たちと同じように防衛部もデュエットを披露するらしい」とバトンを渡し、防衛部のデュエットステージが幕を開ける。爽やかなピアノのイントロに会場が黄色とピンクで明るく染まり始まったのは、白井・増田の二年生コンビによる『-Halfway-』だ。衣装を制服に着替え、メインスクリーンに映し出される街並みを背景に、高校二年生の微妙な感情を鮮やかに表現する二人。曲のラストでハイタッチをしようとする増田の手をさらりとかわす白井の、なんともいえない切ない表情が印象的だった。曲間のMCで感慨深げに語られるデュエットソングへの想いにファンが大きく頷いていると、おもむろに制服のブレザーを脱ぎ出す二人。会場の「まさか」に応えるように、二人のブレザーの裏地にはお揃いのハートマークが。アニメ2期6話、“二年生回”のワンシーンを再現し、コンビ愛を見せつけた。続けて鳴子と蔵王の強い絆を歌った『Sync a Think』へ。客席の左右へそれぞれ移動すると、なんとトロッコに乗って二階席の外周を回るというファンにはたまらない演出が。客席にファンサービスしつつ、時折客席越しに反対側の相方と目を合わせ、客席後方でトロッコがすれ違う際に先ほど叶わなかったハイタッチをしっかりと交わす様子に胸が熱くなる。最後は「これからもよろしくな」「こちらこそ」と言葉を交わしてステージを後にした。続いて始まったのは三年生コンビによる『凪いだ風の交差点』。アリーナ後方から二台のトロッコに乗った梅原と西山が登場し、メインステージに向かって移動しながら優しくゆるやかな友情を歌う。トロッコですれ違う際、二年生コンビの力強いハイタッチと対照的にコツンと小さく拳をぶつけるのも二人らしい。ステージに着くと曲間MC。「やりたいことがある」という西山に梅原が「やりましょう」と乗り、会場に向かって「女!」「男!」「眼鏡!」「寝るのが好きな奴!」と叫びC&Rを楽しむ二人。最後の「防衛部が好きな人!」にはもちろん会場全体が大きな声で応えた。卒業を控えていていながらも寂しさを感じさせず、軽快に会話を進める三年生コンビが次に披露したのは、防衛部で過ごした日々を明るく歌った『騒がしき輝きし日々』。肩に手を置いたり、背中や手を合わせたりと、動きの端々に長い付き合いの貫禄を滲ませる。青と緑のペンライトが、正反対でどこか似ている二人を象徴するようであった。そして三年生が退場すると、メインスクリーンに映し出されたのは、有基の兄・箱根強羅を演じる杉田智和。お馴染み「黒玉湯」のセットの前に立ち、Tシャツに赤いハーフパンツ、そして肩に斧を担いだ“あんちゃん”スタイルの杉田からのビデオレターにファンは大喜びだ。会場に来られない杉田から愛のあるメッセージを受け取ったところで山本が登場し、箱根兄弟のデュエットソング『Oh My あんちゃん♡』を披露。曲中で強羅が歌っている台詞パートがスクリーンに映し出され、ファンが強羅の代わりを務める。客席全体が“あんちゃん”となって有基への愛を叫ぶ光景は『LOVE!LIVE!』から格段にパワーアップしていた。そして曲間MCでは、次の曲のコールの練習が行われる。「プッチャヘンザ(Put your hands up)」と言いながらステージを飛び跳ねる山本に合わせ、大きく手を上げるファン。「自分の中のあんちゃんを解放してください」との山本の指示のもと、『Brother Lover Rapper feat. MC YOU MORE TONE & MC GO-Rap from KUROTAMAYU』が始まる。背後にスーツ・サングラス姿のダンサーを引き連れ踊る山本は『Oh My~』の可愛らしい有基と対照的に男らしく、赤いペンライトの海を前に座長の威厳を見せる。ラップパートも華麗に決め、6000人の“あんちゃん”とデュエットを完成させた。

デュエットステージが終わると、スクリーンにアニメ映像が流れ始める。映し出されたのは別府兄弟がアイドルしての姿VEPPerへと変身を遂げる場所、“VEPP Theater”。VEPPerのマネージャー・ダダチャによるイントロダクションの後、ステージにスポットが当たり、ソファで寄り添う別府兄弟の姿が現れる…というお決まりのシーンに、客席からは待ちきれないといった歓声が。「Now is the time, Enjoy the show!」というダダチャの声に続いてメインステージ上段に現れたのは、VEPPerへと変身を遂げ赤いソファで寄り添う河本と村上だった。黒を基調としたアイドル衣装はもちろんこのライブが初お披露目だ。割れんばかりの歓声の中始まったVEPPer二度目のステージ一曲目は『☆Star☆The☆VEPPer☆』。二人で手を合わせくるりと回る劇中での振り付けをはじめ、アニメでの演出を完全再現してみせた。二色に染まった客席に応えるように曲を歌い切ったVEPPerは、「Lucky you!」「Happy you!」でお馴染みの名乗り口上も再現。自己紹介では「ペンライトの(防衛部以外の)色を見ておかしいと思った人!」と問いかけ笑いを誘う。この日の河本と村上は、キャスト本人として話したのはほとんどこの自己紹介だけであり、VEPPerとしてのパフォーマンスを徹底。アイドルの意地を見せた。続けて披露したのは、アニメ2期11話で防衛部との対決の際に使用された楽曲『純情革命D.F.G』。レーザーを使用したイントロの演出や、間奏でのアクロバティックなダンスなど、正真正銘のアイドルステージにファンからは怒涛の“いいね!”が飛ぶ。会場の別府Apesも大満足のVEPPerのステージは圧巻のパフォーマンスで幕を閉じた。

VEPPerによって幕張イベントホールに“怪人”が作り出されたところで、スクリーンに映し出されたのはまたしてもアニメ映像。手首につけた色違いのブレスレット、通称トゥルーラブレスレットのアラートに嫌々集合し、面倒臭さを露呈させる防衛部の面々だ。各々が文句を言う中、有基の「ちゃちゃっとやるっすよ!」の声に映像が切り替わると、会場からは待ってましたとばかりの大歓声。壮大な音楽ともに防衛部の5人が“バトルラヴァーズ”へと変身する“ラブメイキング”は、この『美男高校防衛部LOVE!LOVE!』の醍醐味とも言えるシーン。5人がそれぞれ大きなリボンやフリルのついた衣装に身を包み、バトラヴァ・スカーレット(有基)、バトラヴァ・セルリアン(由布院)、バトラヴァ・エピナール(鬼怒川)、バトラヴァ・サルファー(鳴子)、バトラヴァ・ヴェスタ(蔵王)へと変身する様子が流れる。止まない歓声の中会場が暗転し、スポットライトで照らされたのは客席左側二階席に立つ梅原。『LOVE!LIVE!』でお披露目されたものから背中や腰、胸元のリボンなど装飾が大幅にパワーアップしたバトラヴァスーツを身に纏い、アニメでお馴染みの名乗り口上を披露すると、続いてアリーナ後方と客席右側二階席、メインステージに立つ増田、白井、西山、山本が順に照らし出され、決め台詞を高らかに叫ぶ。お待ちかねのバトルラヴァーズの登場に会場のボルテージは最高潮。始まったのは、この日二度目となる『沸点突破☆LOVE IS POWER☆』だ。トロッコや客席横の階段からメインステージへと集まる防衛部に、ファンは至近距離から声援を送る。会場のキャパシティに関わらず、近い距離でコミュニケーションをとれるステージ演出は防衛部ならでは。オープニングと同じ曲でありながら全く新しい興奮が客席中に広がった。ステージに着いて曲を歌い切ると、「VEPPerの次は売れないアイドルグループの登場です」と梅原が自己紹介。「やっぱり俺、似合ってる!またモテちゃうぜ!」と誇らしげに笑うのは蔵王を演じる増田。新しくなったバトラヴァスーツに対する各々のコメントにも個性が溢れる。その後は怪人を浄化するバトルラヴァーズの必殺技“トゥルーラブファウンテン”を会場も巻き込み披露。BGMもアニメそのままのものが使用され、温かい愛が会場を満たした。

『沸点突破〜』で怪人を倒したと思われたバトルラヴァーズだったが、ここで再びステージ上段にVEPPerが登場。バトルラヴァーズが気に入らないVEPPerはアイドルに必要なものは何かと5人に問いかける。「睡眠」「大喜利力」「形態模写(!?)」「応援してくれるファンのみんな」「愛」と言葉を連ねる5人を、VEPPerは「アイドルに必要なのは“嘘”だ」と一蹴。聞き覚えのある言葉にファンがざわつく中、会場が暗転し、バトルラヴァーズとVEPPerのやりとりはいつの間にかアニメの2期最終回の映像へと切り替わる。兄・強羅がVEPPerによって宇宙に連れ出されようとするのを目の当たりにして、有基の感情が爆発し、暴走するシーンがスクリーンに大きく映し出され、会場からは悲痛な叫びが上がる。VEPPerの強力な攻撃さえ跳ね返し、手がつけられないと思われた有基の激昂を力尽くで止めたのは、彼が“先輩ズ”と呼び慕う防衛部の4人。「有基、愛って何だ!」と問いかける鬼怒川の言葉に有基は我に返る。“先輩ズ”の熱い想いと優しさに感動の声が上がり、物語はいよいよクライマックスシーンへ。

「アイドルの“アイ”は、LOVEの“愛”っす!」と声高く叫ぶ有基の声に続いて、ステージ下から勢いよく炎の柱が伸びる。メインステージのポップアップから登場したのは、純白の“ウルトラモアベター”バージョンに変身したバトルラヴァーズの5人。力強い歌声が響き、燃え盛る炎の中、本編最後の楽曲『Just going now!!』が始まった。『LOVE!LOVE!LIVE!』の直前に行われた防衛部の楽曲リクエストアワードで一位を獲得したこの曲は、高校生という時間を駆け抜ける彼らの等身大の歌詞を熱いメロディーに乗せたパワフルなナンバー。1期・2期と通してアニメのラストバトルの際使用され、思い入れが深いファンも多いであろう。「そんな僕らを笑う声がした」という歌詞は、先述の『Boys Go Straight』の歌詞と通じているようでもあり、防衛部の歩んできた道のりが見て取れる。メンバーがしきりに目を合わせながら歌う様子や、精度の格段に上がったダンスパフォーマンスも必見だ。そして曲がラストスパートに差し掛かると、ここで最大のサプライズが。なんと間奏後の大サビ、5人のセンターにいた山本がワイヤーフライングのパフォーマンスを見せたのだ。ステージから15mほどの高さまで飛び立った山本は、ウルトラモアベターバトルラヴァーズに変身しVEPPerに“アイドル”と“愛”について説く有基そのもの。誰に対しても大きな愛をもって接する優しさ溢れる主人公と、手を大きく広げ歌う山本の姿が重なり、会場はこの日一番の歓声に包まれる。最後の歌詞は「まだ今も覚めない青い春を さあ 駆け抜けていこう」。刹那的でありながら永遠のようにも思える、しかし確かな希望を歌い上げ、曲は終了。ステージにゆっくりと降りて来た山本が着地の向きに苦戦し照れ笑いを浮かべると、4人も山本を讃えるように微笑む。最大級の愛によって今度こそ怪人を倒したバトルラヴァーズの5人は、いつもの調子を取り戻し、「疲れたから黒玉湯に行こう」と意外にもあっさりとステージを後にした。

本編終了後、興奮の冷めない会場からは息つく暇もなくアンコール。5色に染まった客席の熱気は数分間続き、再びステージの照明がつくと、ステージ上段から現れたのは温泉のセットで脱力する防衛部だった。この退場・再登場のゆるさも、なんとも防衛部らしい。温泉に浸かってのトークではそれぞれがライブの感想を言い合う。テンションの上がった西山の言葉が聞き取れないという恒例のいじりや各メンバーのソロの裏話など、楽屋での会話を聞いているような空気感に、会場には先ほどまでの興奮とはまた違った幸福感が満ちる。温泉を満喫した5人はステージへ降り、穏やかな表情のままアンコール一曲目の『LOVE FRIENDS』を披露。5人の防衛部への愛がストレートに歌詞に表れた、心温まる一曲だ。山本がステージを駆け回りメンバー一人一人を抱きしめる光景が明るい曲調と重なり涙を誘う。間奏の台詞パートで言葉を交わす三年生コンビ・二年生コンビの安定感、大サビで肩を組み左右に揺れる5人の優しい表情と、この作品のテーマである“愛”を隅々まで感じることができた。

そして曲が終わると緊急告知。来年3月の両国国技館でのイベント開催が発表され、会場からはまたしても大歓声。防衛部の無限の愛はまだまだファンを驚かせてくれそうだ。

ここで5人から改めて最後の挨拶。大きな会場に来られた喜びを感慨深げに語る増田、『LOVE FRIENDS』を歌っていて感極まったと防衛部愛を表現する白井、これからも防衛部を愛してほしいと笑顔で伝える西山、辛いこともあったがファンの笑顔で報われたと話す梅原、そして、ここまで来られたのはファンの愛の賜物だと噛みしめるように語る山本。5人それぞれの想いを受け、ファンも涙ながらに心からの拍手と声援を送る。「愛し愛され 愛の螺旋が 未来永劫 続くこと」。アニメ最終回の台詞を象徴するような“愛”溢れるステージの最後を飾るのは、防衛部始まりの曲『絶対無敵☆Fallin' LOVE☆』。アニメ1期のオープニング曲であり、『LOVE!LIVE!』のオープニングと本編エンディングも飾った、まさに防衛部の代表曲だ。美男高校地球防衛部の魅力が全て詰まったキャッチーなメロディーと歌詞に、会場は一つになって「LOVE!」コール。ライブが終わってしまう寂しさを吹き飛ばすかのように、これから先も続いていく防衛部の愛が真っ直ぐに届けられる。間奏からは防衛部と同じくライブTシャツに着替えたVEPPerの二人も登場し、ステージに出揃った7人は会場と一緒にサビを大合唱。「絶対無敵素敵な 愛の勝利さ」と歌った彼らの表情はこの上なく誇らしげだ。鳴り止まない拍手の中、「じゃあなお前ら!」「ゲッツ!」「ジャスティス!」と最後まで個性溢れるひとことを残し、7人はステージを後にした。


部活、戦隊、アイドル。エンターテインメント性をこれでもかと詰め込んだ『美男高校地球防衛部』シリーズの一つの集大成、『LOVE!LOVE!LIVE!』。グダグダで熱くて笑えて泣ける防衛部の愛はどこまでも深く、我々の予想を超えていく。キャスト、スタッフ、ファンの全身全霊の“LOVE”に、他の何にも負けない「絶対無敵のPOWER」を見た。無限に湧き出る彼らの愛から目が離せない。